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英国地域劇場スタディーツアー その1-1

 
2014-9-18
NPO法人世界劇場会議名古屋 理事長 下斗米 隆


 去る6月1日(日)から9日(月)までの9日間、私ども世界劇場会議名古屋主催による「英国地域劇場スタディーツアー」を実施いたしました。参加者は、当劇場会議のメンバー6名と全国各地から集まった地域公立劇場に携わっている人、関心を持つ人6人の計12名でした。出発に当たって、皆さんにお願いしたのがこのリレーエッセイに投稿をしていただくこと。で、まずは言い出しっぺの私から・・・。

 さて、視察した劇場の説明や感想、セミナーの様子、旅行全体を通じて感じたことなどは追々他の皆さん方からのリレーエッセイーで語って貰うことにして、とりあえず簡単にこの旅行全体のスケジュールと視察した劇場の一口メモを書き出しておきます。

35℃から15℃へ!

 6月1日(日)。朝の7時半に名古屋セントレア空港を出発しルフトハンザ機でフランクフルト経由エジンバラへ。出発地の名古屋が異常に気温が高く35℃だったのに、到着地のエジンバラは何と15℃近くと、20℃近い温度差。行く前は17℃から20℃くらいと聞いていたのに、連日14℃〜16℃前後で、日本から持っていった夏のジャケットは着ず仕舞い。結局冬物一着を着た切り雀の9日間となりました。


まず一発目のショックは、グラスゴーで!
 

 さて翌2日(月)。エジンバラからチャーターバスでグラスゴーへ行き、シチズンズ・シアター(写真1)を視察しました。


(写真1)

この劇場はおよそ140年前に建てられたものだそうで、もちろんあちこち増改装されているものの基本はそのままとのこと。すごいのは工房(ワークショップ)。壁は昔の煉瓦がむき出しになったままですが、とにかく広い。木工作業用、塗装作業用など作業別に別けられており、とても機能的な工房(写真2)で、舞台の大道具、小道具、


(写真2)

衣裳などはすべてここで作っているそうです。そしてもう一つ驚いたのが奈落。昔の木製のセリなどが、そのままの形でいまも立派に使われていました(写真3)。


(写真3)

 しかし、やはり本当にすごいのはプログラム。質の高い作品づくりはもちろんですが、地域社会との結びつきを重視するいわゆるソーシャル・プログラムへの力の入れ方がすごい。例えば、難民が多く住む地帯や貧困世帯の地域へ出向いて行って芝居づくりやダンスなどを一緒にやるプログラムとか、刑務所のなかで囚人の人たちを対象とした芝居づくりなどをするといった活動をいくつもこなしていること。しかもそれが肩に力の入った感じでなく、サラッとやっているという感じで説明されました。これは本当にすごいことです。本来の劇場の活動の在り方とはこういうものかと、しみじみ感じさせられました。
(つづく)
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