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名古屋・愛知と劇場文化・劇場建築

 
2013-9-14
NPO法人世界劇場会議名古屋理事
(株)都市造形研究所      細井昭男

 あまり知られていないが、名古屋・愛知は我が国における劇場文化のメッカの一つである。これについて手前味噌ではあるが、愛知芸術文化センターの開館と同時期に発足した「世界劇場会議名古屋」が果たした役割は少なくない。1993年より、舞台関係者・行政・コンサルタント・研究者・建築設計者・企業など幅広い人材が一同に集い、地域における舞台芸術の創造と社会基盤づくりについて様々な角度から議論が行われてきた。
 ここでの成果はこの地域の劇場建築に大きく影響を与えている。長久手市文化の家、パティオ池鯉鮒、武豊町民会館ゆめたろうプラザ、名古屋市千種文化小劇場、お隣岐阜県の可児市文化創造センターala、穂の国とよはし芸術劇場プラットなど、近年の充実ぶりは他をリードしている。
 これらにかつて「ハコモノ」の象徴と揶揄された姿は見られない。全国的に見て、ホールを有する施設における稼働率の平均はいまだに約4割程度であるのに対し、上記施設の稼働率はこれを大きく上回る。単に東京発の公演を鑑賞するのではなく、創作・練習活動に対する配慮がなされており、生涯学習諸室との有機的な連携も珍しくない。催しの無い日であっても、フリースペースで多くの市民が様々に利用する姿を日常的に見ることができる。
 もちろん建築の良さは利用率の高さだけで決まるものではない。ここで特筆すべきは、その使い方について十分にプログラムされ、設計が行われていることにある。技術の向上に裏づけされた優れたホール性能もさることながら、地域文化を発信するまちづくり拠点としての機能と空間構成が充実している点でかつての施設群と大きく趣を異にする。
 これらの劇場建築を訪問の折、五感で建築を感じるとともに、是非、事務室に一声かけて年間の催事計画や各種の館が発行するレポートを手に取って欲しい。劇場の活動とそこに込められた関係者の想いを知り、アタマとハートも動員して劇場建築を読み解いていただきたい。
 そして何より“利用”していただきたい。劇場建築を愉しむにはこれが一番である。
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