世界劇場会議国際フォーラム2014のまとめ
- 2014-7-22
世界劇場会議国際フォーラム2014のまとめ
〜指定管理者制度10年、公立劇場のいま〜
今すぐ人材育成に着手しなければ、日本の公立劇場は空洞化する!
NPO法人世界劇場会議名古屋
理事長 下斗米 隆
世界劇場会議国際フォーラム2014
実行委員長 衛 紀生
私どもNPO法人世界劇場会議名古屋は、本年2月7日(金)・8日(土)の両日、「指定管理者制度10年、公立劇場のいま」をテーマに「世界劇場会議国際フォーラム2014」を開催致しました。その結果、公立劇場における指定管理者制度の問題点として明らかになったのは、雇用の問題であり、より直接的には人材育成の問題であるという結論が導き出されました。日本の非正規雇用率は約38.2%(総務省就業業構造基本調査2013年版)ですが、公立劇場の場合はさらに高く、ほぼ10人に7人が非正規雇用で、しかもプロパー職員が年々減少しています。またこのプロパー職員の大半が50代というホールがほとんどで、あと10年も経つとこの人たちが退職することで、舞台技術や事業企画などの専門職員はいなくなり、しかも後から入ってくる職員は有期雇用で概ね3年で雇い止めになってしまうという現象が始まっております。
この制度では、意欲を持つ、意識の高い、才能のある若者が劇場の世界に入ってこなくなることを意味しています。つまり劇場が文字通り空洞化してハコモノになってしまい、「劇場・音楽堂等の事業の活性化のための取り組みに関する指針」の第2の3-(2)-ア「より質の高い事業を継続的に実施する観点から、年齢構成に配慮しつつ、分野ごとに必要な専門的人材を適正に配置すること」という文言を具現化することを阻害する最大の要因と考えます。
これが指定管理者制度の最大の弊害であり、このことを解決して行くことがこれからの日本の公立劇場の最大の課題と考え、それに対処する方策を真剣に考えていく必要があるという結論となりました。以下にフォーラムで議論された問題点、課題とそれに対する解決策を列記して当国際フォーラムのまとめと致します。
一、指定管理者制度に見合う施設と見合わない施設がある。
指定管理者制度の中から、人的サービスを中心とした施設、特に文化ホール、劇場・音楽堂・博物館・美術館・図書館などインステテユートな施設は除外すべきであり、例外項目を作るべきです。
一、指定管理者の期間の延長
指定管理者の期間を、特に人的資源込みの施設(インステテュート)の場合、10年は保障するという基準を作るべき。今の3年とか5年では短すぎて人材育成ができません。
一、選定基準の見直し
それぞれの施設のミッションは、行政側が毎年時代とともには洗い直していく必要があります。プロポーザルに当たっては「劇場・音楽堂等の事業の活性化のための取り組みに関する指針」第2の1「運営方針の明確化」にあるように、「この文化ホールはこういうことのために頑張ってほしい」という方向性を定め、それに基づいた施設の活動ミッションを指定管理者に示して契約するというのが本来の姿であるはずです。
一、適正価格、最低価格の設定
指定管理制度が制定され10年間指定管理者制度を施行して来ているので、適正価格というのがある程度判断できるはずです。指定管理の公募のときに最低価格を設定し、これ以上低いところでは文化芸術振興に際し、質の担保が出来ないので採用しない、という考え方が必要です。ブラック企業を排除するためにもこれは必要と考えます。
一、公募の見直し
公募ありきではないということは自治行政局長もすでに述べているところで、当時の片山総務大臣もこれを追認しています。しかし役所の中では基本「公募」で競争という考えが根強く、一度見直しをはかる時期に来ているのではないでしょうか。
〜指定管理者制度10年、公立劇場のいま〜
今すぐ人材育成に着手しなければ、日本の公立劇場は空洞化する!
NPO法人世界劇場会議名古屋
理事長 下斗米 隆
世界劇場会議国際フォーラム2014
実行委員長 衛 紀生
私どもNPO法人世界劇場会議名古屋は、本年2月7日(金)・8日(土)の両日、「指定管理者制度10年、公立劇場のいま」をテーマに「世界劇場会議国際フォーラム2014」を開催致しました。その結果、公立劇場における指定管理者制度の問題点として明らかになったのは、雇用の問題であり、より直接的には人材育成の問題であるという結論が導き出されました。日本の非正規雇用率は約38.2%(総務省就業業構造基本調査2013年版)ですが、公立劇場の場合はさらに高く、ほぼ10人に7人が非正規雇用で、しかもプロパー職員が年々減少しています。またこのプロパー職員の大半が50代というホールがほとんどで、あと10年も経つとこの人たちが退職することで、舞台技術や事業企画などの専門職員はいなくなり、しかも後から入ってくる職員は有期雇用で概ね3年で雇い止めになってしまうという現象が始まっております。
この制度では、意欲を持つ、意識の高い、才能のある若者が劇場の世界に入ってこなくなることを意味しています。つまり劇場が文字通り空洞化してハコモノになってしまい、「劇場・音楽堂等の事業の活性化のための取り組みに関する指針」の第2の3-(2)-ア「より質の高い事業を継続的に実施する観点から、年齢構成に配慮しつつ、分野ごとに必要な専門的人材を適正に配置すること」という文言を具現化することを阻害する最大の要因と考えます。
これが指定管理者制度の最大の弊害であり、このことを解決して行くことがこれからの日本の公立劇場の最大の課題と考え、それに対処する方策を真剣に考えていく必要があるという結論となりました。以下にフォーラムで議論された問題点、課題とそれに対する解決策を列記して当国際フォーラムのまとめと致します。
一、指定管理者制度に見合う施設と見合わない施設がある。
指定管理者制度の中から、人的サービスを中心とした施設、特に文化ホール、劇場・音楽堂・博物館・美術館・図書館などインステテユートな施設は除外すべきであり、例外項目を作るべきです。
一、指定管理者の期間の延長
指定管理者の期間を、特に人的資源込みの施設(インステテュート)の場合、10年は保障するという基準を作るべき。今の3年とか5年では短すぎて人材育成ができません。
一、選定基準の見直し
それぞれの施設のミッションは、行政側が毎年時代とともには洗い直していく必要があります。プロポーザルに当たっては「劇場・音楽堂等の事業の活性化のための取り組みに関する指針」第2の1「運営方針の明確化」にあるように、「この文化ホールはこういうことのために頑張ってほしい」という方向性を定め、それに基づいた施設の活動ミッションを指定管理者に示して契約するというのが本来の姿であるはずです。
一、適正価格、最低価格の設定
指定管理制度が制定され10年間指定管理者制度を施行して来ているので、適正価格というのがある程度判断できるはずです。指定管理の公募のときに最低価格を設定し、これ以上低いところでは文化芸術振興に際し、質の担保が出来ないので採用しない、という考え方が必要です。ブラック企業を排除するためにもこれは必要と考えます。
一、公募の見直し
公募ありきではないということは自治行政局長もすでに述べているところで、当時の片山総務大臣もこれを追認しています。しかし役所の中では基本「公募」で競争という考えが根強く、一度見直しをはかる時期に来ているのではないでしょうか。