名誉大会委員長
飯島宗一
世界劇場会議は、劇場に関わる全ての人々が一堂に会し、劇場をめぐる様々の問題について情報交換し、 経験を分かち合い、そのあり方の改善と発展を目指すことを目的として1993年に始められた国際会議で、 95年、96年、97年、98年と回を重ねてきました。 第5回目を迎える「国際フォーラム'99」は、来年2月愛知芸術文化センターで2日間にわたり開催の予定ですが、 このフォーラムでは、「21世紀へ 見つめなおそう! 地域の劇場」をメインテーマに、「産業としての劇場文化 −その現状と将来」、「人人人、劇場文化の未来と夢」などの話題について、日本はもとよりアジア、 さらに世界に視野をひろげて話し合う計画であり、 劇場文化に関心を持つ多くの方々の参加を期待しております。


大会委員長
藤井知昭
低迷する景気を背景に、行政はじめいずれも文化に関する財政的後退が軒並み進行している。 このような時代だから文化・芸術に関するより積極的展開が必要であり、そのためにこそ、 すぐれた経験や知識を交換し、相互の協力を推進しようと言うのが、「世界劇場会議'93」 に採択された「名古屋宣言」の理念であった。以来、毎年継続して開催している「世界劇場会議 国際フォーラム」では、各地から参集される文化・芸術のすぐれた担い手たちによる真摯な議論と連帯によって、 稔り多い成果と豊かなネットワークが広がってきている。 地域における文化活動の拠点としての劇場の果たす役割はますます重要になっている。 今回も、より積極的な多くの方々の御参加をいただき、 来るべき新たな世紀を指標に文化振興へのさらなる展望があがることを期待している。


実行委員長
西澤康夫
この会議は1993年、それぞれの地域や国における劇場の現時点における様々な問題点を徹底的に検証し、 今後の発展の可能性を探るため、国際的な協力を前提として、意見交換、 情報交換をはかる場として出発しました。
しかし、こういったことを継続的に考え続けるためには、 私たちはいつも二つの視点から同時に事態を見据えていかなくてはなりません。 一つには、劇場という半ば公的な建築物を創り、文化的、経済的な側面を考慮しつつ管理・運営する側からの視点です。 しかし同時にもう一つの側、すなわち劇場を利用し、主体的に劇場文化の創出に関わっていく側の視点がどうしても必要なのです。 そして現時点における最大の問題は、 後者の視点が前者の視点と有機的かつ機能的に組み合わされることによって着実に成果を上げてきたとは必ずしも言い難い、 という点にあります。 例えば、音楽や舞踊や演劇を伝授し、もしくは享受する多くの人々の視点が、 建築としての劇場の構造や設備や運営にどのように、 そしてどこまで具体的に反映されてきたでしょうか。 東洋的な発想、日本的な感性が生かされて、はじめて国際理解へと発展するという逆説もあります。 インターナショナルとは元来そのようなものです。 時代や地域やライフサイクルを睨んだ発想の転換も望まれています。
新世紀にふさわしい劇場の姿をともどもに探し求めようではありませんか。 皆様の御参加を心からお待ち申し上げます。